Q 当社は役員に対し、精算不要の接待費を毎月渡していますが、聞くところによると、この接待費も給与になるそうですが本当ですか。
A原則として、給与所得として源泉徴収する必要があります。
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与等にかかる所得をいいますが、その範囲は広く、雇用契約等に基づいて雇用主から定期的に支払われる給料、賃金等及び臨時に支払われる賞与などの金銭で支払われるものはもちろん、物や権利等の経済的利益など労務の対価としての性格をもつものすべてが、その支払名目のいかんを問わず給与所得に含まれます。
したがって、雇用主から役員や従業員に交際費や接待費等の名目で支給された場合には、その支給が雇用契約に基づく労務の対価としてのものなのかどうかにより、給与等に該当するかどうか判断することになります。
ところで、交際費や接待費等といった費用は、会社の業務遂行上必要な費用であり、本来、会社が直接支出すべき性格のものです。
これを、会社が直接支出しないで、役員や従業員個人に支出しているときは、原則として、その費用相当額はその役員や従業員に対する給与等として取り扱われることとなります。
しかし、その支給を受けた役員や従業員が実際に接待や交際目的に使用した部分にまで課税をすることは適当でないことから、使用者の業務のために使用すべきものとして支給したもので、そのために使用したことの事績が明らかなものについては、使用者が直接支出した交際費、接待費等と同様に取り扱うこととし、その支給を受けた者に対する給与とはしないこととされています。
つまり、会社が、役員や従業員に対し接待費や交際費等の名目で金銭を支給した場合において、その使用された金額のうち会社の業務遂行上必要な接待等のために支出したと認められる部分の金額は、交際費とされますが、支給をした金額のうち会社の業務のために使用したことが明らかでない金額や支給したままで精算されない部分の金額は、交際費等にはならず、その支給した者に対する給与として取り扱われるのです。
このように役員等に対する金銭の支出で営業活動に使われるもののうち、その使途、使用金額について精算されず、会社の業務に使用したことが明らかでないものを「渡切り交際費」といいますが、毎月定額を支給するものであれば給与(役員報酬)として、また、臨時的に支給するものであれば、賞与(役員賞与)として扱います。
もっとも、その交際費がその都度精算され、その支出が会社の業務に必要な接待費や交際費であることが明らかな場合は、給与とはならず交際費となりますので、この場合には、源泉徴収は不要になります。
なお、会社が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭で、その費途が明らかでないものは、法人税法において損金の額に算入されないこととされています。
したがって、このような費途不明の交際費は、たとえ、渡切り交際費等として支給していたとしても、給与等として取り扱うことはできません。